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KORG AX5G
KORG AX3G
現在、KORGのマルチエフェクターは事実上「ZOOMとの競争に負けてじり貧状態」と呼んでしまっていいんじゃないかと思います。
VOXのブランドで出した姉妹モデル「StompLab」も不振を極めているようですし、もう撤退の2文字がちらつくような状況なんじゃないかな、と思われます。
ともあれ、今回ご紹介するAX3G/AX5Gは、KORGの(ほぼ)最新のギター用マルチエフェクターです。両者の違いは、5Gのほうにペダルがついていることだけ(厳密には1つだけ内蔵エフェクトが違う)です。
↑我が家にあるAX5G。中古楽器店のジャンク扱いで、あまり大きな声で言えないくらい安く手に入れました(笑)。
このモデルの(現象的な意味での)特徴は、中古市場を含めてとんでもなく値崩れしている、ということです。
中古楽器店でもまあ4000円以下で売っていることが多いと思いますし、オークションなどではAX3Gなら送料を除いて2000円を切ってくるでしょう。
じゃあ、このモデルは音が悪いのか?機能が不足しているのか?といえば、全然そんなことはなく、マルチエフェクターとして他のモデルに遜色のない性能をもっています。
KORGのここ何年かのエフェクターで培われているREMSテクノロジーがこのモデルにも投入されており、かつての巨大なフロアマルチの性能が、びっくりするほど軽くて(おもちゃのよう)小さな筐体に詰まっています。
特に、コーラスやフェイザーなどのモジュレーション系は、レゾナンスやスイープ周波数まで設定可能、リバーブは残響音の減衰量を音域ごとに別々に設定できるなど、このクラスでは考えられない、超マニアックな自由度をもっており、安物どころかむしろ「競合製品と比べても性能・機能の高さが光るモデル」と言ってしまってもいいと思います。
ただ…このシリーズには大きな問題があります。
おそらくそれが、このモデルが売れなかった大きな理由の1つでもあるように思います。
それは、
音作りの難易度が高すぎる。
これに尽きます。
音作りの際に表示される情報がほとんど呪文で、本体だけでは絶対に設定できませんし、説明書を読んでもエフェクター初心者には到底理解できない難しさなのです。
たとえば、モジュレーションとしてコーラスを設定したいと考えたとします。
編集項目のダイアルを回して「MOD」に設定し、値を変更しようとすると…
本体のLEDディスプレイに出てくるのは、「F1」「F2」という謎の表示。
ZOOMならここで「CH」とか「C1」とか出てくるので(分かりにくいですが)いちおう「これがたぶんコーラスだな」と分かるんですが、AX3GではただのFなんとかという表示になってしまうのです。
そこで取扱説明書を見て、ようやく「F0」「F1」「F3」の3つがコーラスだと分かります。
ここで、「F3」のコーラスを選んで、パラメータを調整することにします。
このパラメータについても、「P1」「P2」「P3」「P4」(さらに加えて、名前の出てこない「Main」というパラメータもあります)といったまったく具体的イメージのない名前しかつけられていません。
そこでもう一度説明書を見ます。
Main=SPEED1
P1=SPEED2
P2=DEPTH
P3=RESO
P4=MODE
いやー、これは完全に「初心者お断り」レベルですよほんとに。
エフェクターについてかなり理論的に知っている人でないと、このコーラスのパラメータは調整できないでしょう。
「分かる人」でも、説明書と首っぴきにならないとパラメータがいじれないインターフェイスの悪さがあります。
これがこのモデルの最大の欠点で、売れなかった大きな理由なんじゃないかと思います。(しかもプリセットの音はあんまりよくないんですよこれが(笑))
さらにもう1つハードルがあって、このモデル、パラメータの詳細は買ったときに付属している説明書には書いてありません(爆)。最初からついている説明書にはパラメータの「概要」しか書いていないのです。
ネットから、パラメータの詳細資料をダウンロードする必要があります。
http://www.korg.co.jp/Support/Manual/download.php?id=130
これをダウンロードすると、ようやくある程度のパラメータの詳細がわかってきます。
いやーそれにしてもほんとにひどい状況だなこれは。
さて、そんなわけで、このAX3G/AG5Gは、見た目のコンパクトで気軽なイメージとはかけ離れた、マニアックで難易度の高い、本格的なマルチエフェクターです。
プリセットの音がいまいちで自分で音の作り込みをしなければならないのに、作り込みのためのインターフェイスが最悪でかなりのマニアでないとまともに音作りができないという欠陥があります。
でも、そのインターフェイスの悪さを乗り越えると、はるかに大きくて重い上位モデルのマルチエフェクターに匹敵する、もしくはそれ以上に細かなカスタマイズによる本格的な音作りが可能となり、いちどそうやって音作りをすれば、その音を極めてコンパクトで軽い筐体で持ち歩くことができるようになります。しかも超安いし。
見た目からは想像ができないほどのじゃじゃ馬エフェクター。
安く買って、ぜひ「乗りこなして」みてはいかがでしょうか。
おまけ:その「乗りこなし」のためのツールとして、複雑なパラメータを一目で見渡すことのできるパラメータシートを作ってみました。
これを見れば、大雑把にパラメータ全体をすぐに確認することができます(詳細は説明書に戻って確認してください。)。
↑本体はPDFファイルです。ダウンロードして活用下さい。
コメントありがとうございます。
そうですね、このエフェクターのパラメータはほとんど暗号です。
なんというか、安く作るのに手を抜くところを間違ってしまったという感じですね。
でもその分、ちゃんとパラメータを設定すると空間系エフェクトとかは他ではいじれないところまでいじれるので面白いと思います。
私は、KORG AX3Gを今年オークションで購入。
おっしゃる通り2000円でした。
あなたの言う通りで「じゃじゃ馬」とは、うまく言いましたね。
私もメーカーサイトでパラメータデータを取得。
ま、たとえこれを理解しても、いわゆる「戻る」作業で「あ、もう1つ戻るのか…」とかミスタッチしやすい。
これが家電製品だったらザマスメガネかけたBBAからのクレームで、テレビCMでお詫びしなきゃならないくらいに「非ユニバーサル品」ですね。
ただ、品質だけ切り取ってみればこれもあなたの言う通り、酷評されるものではありません。
使い倒してやろうと確認ができ、感謝します。
各社マルチエフェクターってほんと奥が深くて
使いこなせさえすればどの製品もそれなりに使えると思うのですが、
「どういう説明書ならユーザーに使いこなしてもらえるか」ってのが
メーカーの努力目標かもしれませんね。
プリセット音しか使いこなせなかったら、人の好みは千差万別なので多くは「音が悪い」「好みの音が出ない」となるんでしょうね。
説明書の書き方一つで宝箱にもガラクタにもなりそうな!!!!
そらパパ様のパラメータシートが追加されただけでガラクタだったものが宝箱に大変身です。