これで、原稿づくりの準備が整いました。
まずは、もともとテキストファイルで手持ちしていた原稿をWordにインポートし、原稿を仕上げていきます。
ここでいくつかポイントがあって、
1) 目次にしたい章名の入った行に、「見出し1」「見出し2」「見出し3」などの見出しスタイルを指定する。
2) 「字下げ」インデントは使ってもいいが、「ぶら下げ」インデントは使わない(これを使うとほぼ確実におかしなレイアウトになります)。
3) 表組みは使わない。使う場合は、Excel等で作って画像で貼り付ける。(電子書籍では、表組みはまず崩れると考えたほうがいいです)
4) こまめに改ページする。見出し単位ごとに改ページするのが基本。
5) 強調したい部分を、フォントの変更によって表現しない。機種にもよりますが、Kindleではフォントの指定は無視されて、例えば「全部明朝」とかになってしまいます。
強調したい文章は、明朝のなかにゴシックを混ぜる、とかではなく、「太字+フォントサイズを一回り大きくする」というやりかたで強調しましょう。
そして、一通り上記の処理が終わったら、目次の自動生成機能を使って目次を作ってみます。
ここで生成される目次と、基本的に同じものがKindleでも目次になると思ってください。
目次がおかしくなっていたら見出し行を修正します。
そして今回、1冊めは長編小説なのですが、小説ならではの難しいポイントが1つありました。それは、
縦書きにしたい。
ということです。
いろいろ調べた結果、縦書きにする方法は分かりました(あとで解説します)。でも、そもそも原稿レベルで縦書きを意識して修正して置かなければならない、最重要ポイントがあります。それは、
6) 半角英数字を極力使わない。全角や漢数字に置き換えていく。
ということです。
縦書きにした場合、半角の英数字は全部そこだけ横に寝た状態になってしまい、いかにも「素人が横書きの原稿を無理やり縦にしました」といった感じのレイアウトになってしまいます。
これを避けるための一番簡単な方法は、そもそも半角を使わないということで、例えばもとの原稿で「800メートル」と書かれていた場所は、「八〇〇メートル」と修正すればOKです。
また、「(1)」と半角で書いていた項番号も、全部全角で「(1)」にすれば、少なくともKindleでは縦にしても正しく表示されます。
ここで悩ましいのは、例えば「(12)」というのはどうするんだ、という問題です。
もっとも保守的な修正方法は「(一二)」と修正するやりかたですが、さすがにこれをやると法令の条文みたいになってしまいますし、この修正をやってしまうと、「(1)(2)(3)」といったより頻繁に使う項番号まで「(一)(二)(三)」というギャグのような堅苦しい漢数字を使うことになってしまいます。
この問題を解決する方法が、「縦中横」というテクニックです。これは、縦書きの文書のごく一部に横書きを潜り込ませるレイアウトのことで、例えば「(12)」について、カッコだけ全角にして「(12)」と修正したうえで、「12」の半角2文字を横に並べて全角1文字分のスペースで表示するわけです。このテクニックは、「!?」みたいな文字を作るのにも使えます。
ただ、このレイアウトを実現するためにはEpubファイルをソースレベルで修正しなければならず、多用するとEpubファイル編集作業が気が遠くなるほど大変になりますので、必要最小限にとどめて使うようにしましょう。
こんな感じで、Wordフォーマットの原稿を完成させていきます。
原稿を保存するフォーマットは、「docx」フォーマットにします。古いdocファイルフォーマットは、電子書籍フォーマットとの相性が悪いので使ってはいけません。
続いてWordファイルのEpubへの変換です。
これは、Calibreにドラッグ&ドロップして変換ボタンを押せばすぐにできます。Calibre自体は、言語を日本語にする以外はデフォルトで作業してしまって構わないでしょう。
変換が成功したら、Calibreはいったん閉じて、変換後のEpubファイルをSigilで開きます。
2015年09月02日
この記事へのコメント
コメントを書く
コチラをクリックしてください
この記事へのトラックバック