2015年09月02日

Kindleでセルフ出版にチャレンジ!(5)

ここからは、Sigilによるもっとも面倒な作業の部分です。Epubファイルをソースコードレベルで修正していくので、htmlファイル、cssファイルなどについての最低限の知識が必要かもしれません。(とはいえ、ベーシックな横書きの本なら、ここで何もやらなくても最低限の本は作れるので、とりあえず作ってみるということであればこのステップは飛ばせないこともないです。)

具体的に修正するポイントとしては、

1) 表紙を作る。
2) 論理目次を作る。
3) htmlの目次を作る。
4) タイトル、著者名等のメタデータを設定する。
5) CSSファイルを修正して縦書きにする。
6) 縦中横の設定をする。
7) 画像への文字の回り込みを設定する。


といったところでしょうか。
このうち、1)2)3)4)についてはSigilのメニューから設定できますが、5)以降についてはソースファイルの直接編集が必要です。

具体的な作業については、次のとおりとなります。

最初に理解すべきなのは、Epubファイルの構造です。Epubファイルの実体は、ZIP圧縮されたたくさんのファイルの集合体です。
そのファイルはいくつかのフォルダに分かれて格納されています。(なお、以下は、Calibreで変換されたEpubの場合について書いています。)

「Text」フォルダには、本文をはじめとする文章、ドキュメントのファイルがxhtml形式で入っています。
「Styles」フォルダには、レイアウトやフォント等の体裁を決めるスタイルシート、CSSファイルが収められています。
「Images」フォルダには、本文中や表紙用で使われる画像ファイルが入っています。
「Fonts」フォルダには、ファイル埋め込み用のフォントファイルが入ります。
「Audio」「Video」は私は使いませんが、音声ファイルや動画ファイルが入ります。「Misc」はよく分かりませんが、何かその他ファイルを入れなければならないときに使うところでしょう。
そしてルートにある「toc.ncx」は論理目次ファイル、「content.opf」は各種メタデータなどが格納されたファイルです。


1) 表紙を作る。
「Images」フォルダの右クリックでファイルの追加を選び、表紙画像をインポート。
メニューのツールから表紙画像の設定を選んで表紙を設定。

2) 論理目次を作る。
もし、Wordファイルに目次ページがあったら、Epubでもそのページが変換・作成されているはずなので、当該目次ページを削除します。
そのうえで、メニューのツールから目次→目次の作成を選んで実行。見出しのどのレベルまで目次に入れるかを決めて作ります。

3) htmlの目次を作る。
2)を終わらせてから、同じくメニューのツールから目次→html目次の作成を選びます。「TOC.xhtml」というファイルができるはずなので、このファイルをTextフォルダ内でドラッグで移動させ、好みの場所(恐らく、Wordファイルの目次があった場所)に置きます。

4) タイトル、著者名等のメタデータを設定する。
メニューのツールから「メタデータエディタ」を選んで記入してもいいし、「content.opf」ファイルを直接編集してもOK。いったんメタデータエディタで作り、content.opfファイルに生成されたメタデータをテキストエディタ等に保管しておき、以後はそちらを使って直接編集というのがいいかと思います。
最低限、タイトル、著者名、言語(=日本語)の3点セットは指定しておきましょう。

5) CSSファイルを修正して縦書きにする。
「Styles」フォルダにある「page_styles.css」ファイルに以下を追記します。

body{
font-family: serif;
writing-mode: vertical-rl;
line-break: normal;
-epub-writing-mode: vertical-rl;
-webkit-writing-mode: vertical-rl;
-epub-line-break: normal;
-webkit-line-break: normal;
}

span.tcy {
text-combine: horizontal;
-webkit-text-combine: horizontal;
-epub-text-combine: horizontal;
}


なお、ページごとに縦書き、横書きを使い分けたい場合があると思います。そういう場合は、上記page_styles.cssを複製してpage_styles2.cssというのを作り、bodyのところを次のように書き換えます。

body{
font-family: serif;
wiring-mode: horizontal-tb;
line-break: normal;
-epub-writing-mode: horizontal-tb;
-webkit-writing-mode: horizontal-tb;
-epub-line-break: normal;
-webkit-line-break: normal;
}


そして、横書きにしたいページのxhtmlファイルを開き、最初に呼び出している「page_styles.css」の記述を、「page_styles2.css」に書き換えれば、そのページだけ横書きになります。

6) 縦中横の設定をする。
実は、上記「page_styles.css」には、「tcy」という新しいスタイルが追加されています。これが「縦中横」のスタイルになります。
縦中横を使いたい場所があったら、「Text」フォルダから該当するファイルを開き、ツールバーの「<>」ボタンを押してソースファイルを出し、次のようにこの「tcy」タグで囲みます。

(例:もともと)
10年
(例:修正後)
10


7) 画像への文字の回り込みを設定する。
これもどちらかというと縦書きにしたときに出てくる話ですが、画像を本の上部に配置し、その下の余白部分に本文を流し込む配置にしたくなるケースが多いと思います。
これは、まずその「回り込み」をさせたい画像のある場所を「Text」フォルダのドキュメントから見つけ出します。
そうすると、その画像に対して、「calibrexx」(xxは数字)というスタイルが設定されていることが分かります。
そうしたら、今度は「Styles」フォルダの「stylesheet.css」ファイルを開き、該当するcalibrexxという名前のスタイルを見つけます。
そしてそのスタイルに、以下の記述を追記するのです。

; margin-bottom:1em;
float: left


これで、縦書きにした場合に画像は上に、文書は回り込んで下部に表示されるようになります。

他にもいくつかあるのですが、KindleにリリースするためのEpubづくりということで言えば、とりあえずはこんなところだろうと思います。

上記作業が終わったら、修正後のEpubファイルをKindle Previewerで開き、mobiファイルに変換したうえでKindle上での見えをシミュレーションし、おかしなところがないかをチェックします。
おかしなところがあれば、Sigilに戻って修正し、また修正後のEpubファイルをmobiファイルに変換してプレビューする、という手順を繰り返し、「これで問題ない」という状態になったら完成です。
posted by そらパパ at 22:05| Comment(0) | TrackBack(0) | 電子書籍 | 更新情報をチェックする
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